生れは長野県上田で、周りには沢山山はあるが、本格的な山登りは社会人になってからである。長野県の須坂市に就職し、会社の先輩に連れて行ってもらったのが始まりである。6年間近隣の山から南北アルプス等も経験し、自分なりに技術を蓄積した。そして、単独行にも芽生え、その厳しさや魅力にも取りつかれた。初回は「会社仲間」についての山行を綴る。(一部思い出の山行と重複部分あるので合わせて見てください)
①初めての登山(1964,5)
初めての登山は、会社の先輩と登った黒姫山である。キャラバンシューズを買いハイキングのつもりで参加したが、結構きつかった思い出がある。急坂の下りが辛くて後ろ向きで下りてきた記憶がある。まだ山の魅力は感じていない。
➁初めての北アルプス(1966,8)
入社同期の仲間と北アルプスに行こうとの計画が持ち上がった。場所は白馬岳で大雪渓を登り、1泊して鑓温泉経由で下山するコースだった。初めて4本爪のアイゼンを付け、長い大雪渓は辛かった。天気はあまり良くなかったが、近辺の里山では味わえない、迫力ある山並みと雄大さに圧倒された。そして山小屋での宿泊も初体験でった。この山行が小生の山登りの原点になった様な気がする。
大雪渓にて 白馬鑓温泉にて
③初めての本格的縦走(1966,8)
会社にも山登りが好きな仲間がいて、休暇の取れるお盆には声がかかるようになった。今回は北アルプスを西から東に横断するコースだ。富山の折立から入り、大町の湯股温泉までの縦走である。勿論テント泊で、キスリング一杯の荷を背負い薬師岳~雲の平~三俣蓮華~鷲羽~湯股温泉(当時伊藤新道は通行できた)~七倉迄3泊4日の日程だった。湯股温泉で夜、河原を掘って湯に浸かった。
重いキスリングを背負い 薬師登山口にて
④初めての南アルプス(1968,7)
南アルプス北岳にも挑戦した。当時甲府から広河原に通じる道は未舗装で路肩もしっかりしておらず怖かった。こんなに早く日本の高峰を登れるなんて思ってもいなかった。やはり素晴らしい山仲間に恵まれたからである。
北岳山頂にて 固い握手
⑤初めての表銀座縦走(1968,8)
次いで先輩の力を借りずに当時人気の高かった表銀座コースに挑戦した。職場の4人と中房温泉から上高地迄。今は3泊4日であるが当時は2泊3日であった。東鎌尾根からの槍の眺めは見事であったし、穂先への岩登り( 当時は鉄梯子等は最小限だった)も楽しかった。でも周りを見ても登山客は同年代の若者が多く、活気が溢れていたような気がする
⑥初めての岩の殿堂剱岳(1968,8)
この頃よりアルプス登山にのめり込んで行く。今度は剱岳だ。初めて見る山容は迫力満点であった。剱沢にテントを張り、一般ルートを登った。前知識でカニのタテバイ、ヨコバイが怖いと聞いていたが、さほどでも無かった。今記念になるのは3003mの標識である。その後この標高は変更されて2999mになっている。
剱岳をバックに 剱岳山頂にて
⑦初めての点線ルート(1968,11)
戸隠は地元なので登っているが、八方睨みから西に延びる西岳が気になっていた。ルートは点線でしかもルートは長く不鮮明な所もあるらしい。一人で行く所ではないと先輩から言われていた。でもアルプスで少しは経験できたので、単独で挑戦してみた。前夜宿坊に泊まり、暗いうちに中社を出た。一人旅なので慎重に行動し、無事宝光社に辿りついた。
西岳山頂 剣の刃渡り
⑧初めての雪山(1969,2)
初めての雪山は今考えると幼稚だった。足回りはゴム長靴にキャハン。近くの高社山に登った。友人と共に初のラッセルをしながら何とか頂上にたどり着いた。頂上で食べたラーメンが美味しかった。この時の体験が雪山が好きになったキッカケだったかもしれない。この経験が正月の槍ケ岳登頂へとつながってゆく。
高社山山頂にて 雪庇の張った尾根を下る
⑨初めての単独縦走(1969,9)
和田小屋~苗場山~赤湯~元橋~平標山~仙ノ倉山~万太郎山~谷川岳~茂倉岳~土樽を2泊3日で歩いた。未経験のルートの単独行だったので不安はあったが、装備を整え、慎重に行動した。1日目は昌次新道の登山道脇にテン泊、2日目はカマボコ型の大障子避難小屋に泊まった。殆ど登山者とは会わず、心配な面はあったが、今考えるといい経験になった。
平標山にて 一ノ倉岳にて
⑩初めての氷瀑(1970,2)
近くに米子不動滝という日本の滝百選にも選ばれている89mの高さを誇る滝がある。この滝は菅平を源に発し、須坂に流れ下り、千曲川に合流する。夏も豪快で見物者も多いが冬も結氷し見事な氷壁を造形する。滝の下まで行くのが雪の積もった長い林道歩きで大変であったが、素晴らしかった。
米子不動滝下にて 滝を少し試登してみる
⑪初めての笠ケ岳(1970-6)
当時としては簡単に行けなかった笠ケ岳に挑戦した。今考えると叱られるが、登山道の雪があるハイ松の上にテントを張った。勿論登山者は殆どいなかったが。頂上には2mを超す大きなケルンが数基建てられていた。その後何回かこの山には登っているが、当初のケルンの姿はなく寂しい。
頂上直下の急坂を登る 笠ケ岳山頂
⑫初めての九州遠征(1971,5)
近隣の山もいいが少しは遠出してみようという計画が持ち上がった。場所は屋久島、宮の浦岳。飛行機と船を乗り継いで屋久島へ。1日は雨に降られたが、縄文杉や屋久島の自然を満喫できた。何より感じたのは山に入ってしまうと、ここが洋上の孤島だと感じない程山が深い。木目の細かい屋久杉の置物を買ってきた。
船で屋久島に向かう 九州で唯一雪訓ができる
宮ノ浦岳をバックに 宮ノ浦岳山頂
⑬初めての春スキー(1971,5)
余りスキーはうまくないが、誘われて月山に行ってきた。春スキーのメッカだけあって、雪は存分にある。途中でスキーをデポし月山に登ってきた。帰りはアットいう間に下った。農村部で道を尋ねたら、お年寄りの会話が通じない。名詞は理解できるのだが、接続詞が全く分からず、会話にならなかった経験がある。
月山神社にて ここより滑り降りる
⑭初めての富士山(1972,6)
長野にいると富士山は登りずらい。会社の仲間とバスツアーに参加した。夜仮眠して登りだすが、登山者の行列で目の前に見えるのは登山者のお尻だけ。でもご来光は見れてよかった。下りは本当に滑り降りるといった感じで楽しかった。
山頂でのご来光 富士山山頂